Dentalism No.21
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錦みたいなところがあって、昔は着物にこだわるなんて中身のないやつだ、という風潮もあったけど、チビにはチビなりのお洒落があるし、何より楽しいよね。毎朝、日程を見ながらそれに相応しい恰好を考えて時間をかけていると「あなたなにやってるの、若い女の子じゃあるまいし」と、妻は面白くないみたいだけどね(笑)――河合弁護士といえば、政府高官を巻き込んだ汚職事件、1978年の「ダグラス・グラマン事件」以降、政財界事件の凄腕用心棒、または1審で負けても2審で覆す逆襲弁護士として名を轟かせてこられた方なので、どんな御仁かと想像していたのですが、いい意味で裏切られました。河合 脱原発に関する裁判では、この20年間負け続けてきましたけどね。でも2011年3月11日を境に状況は変わってきた。一度、原発事故が起きてしまうと、すべてのことが覆ってしまいます。経済も、医療も、福祉も、文化も、芸術も、教育も、格差是正も何もかもです。原発で私たちは幸せになれるのか? という疑問があります。それで昨年は映画『日本が起きれば、関西の水がめである琵琶湖がやられます。あの水で生活している人は推定1500万人。近畿地方の経済はもちろん、それより西側が大きな影響を受けることになるでしょう。そういうリスクを誰が犯していいという権利があるのか。だから原発は止めないといけない。 その2週間後の川内原発の仮処分では負けましたが、原発全体の重要性から考えると、高浜原発を止めたメリットが10だとすると、川内原発を止められなかったデメリットは1ぐらいだと思っています。――2012年に東京電力役員を相手に起こした株主代表訴訟も衝撃的でした。国内史上最高額の5兆5千45億円の賠償請求。通常の裁判であれば印紙代だけで55億円かかるところ、会社法に精通していたからこそ1万3千円の印紙代ですんだとか。河合 原子力ムラを相手にするというのは大変なことですよ。日本経済の6割を占める利権構造、巨と原発』まで作ってしまいました。――昨年5月21日には福井地裁で、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止めが命じられ、この春4月14日にも同じく関西電力高浜原発3・4号機の再稼働差し止めの仮処分を勝ち取られましたね。河合 歴史的な判決でしたね。高浜原発は特に危ない。関西電力は今期中に動かしたいと思っていたけれど、福井地裁が止めてくれた。この恩恵は関西全体に行き渡るものですよ。もし再稼働後に事故大コングロマリットのようなものですからね。東京電力はその中枢にいる。でも誰かが集団的無責任を是正しなきゃ。――そもそも弁護士を志したきっかけは何だったのでしょうか。河合 正義の見方「月光仮面」がやりたかった(笑) 一方で経済的な成功もおさめたいと、初めから両方を考えていましたね。でも企業法務の弁護士として成功したいという気持ちはあっても、ビジネスだけの弁護士はいやだった。何か社会の役に立つことがしたい、苦しむ人や、弱い人も助けたいという気持ちが強かった。それが、中国残留孤児の国籍回復や脱原発運動などの活動にも繋がっているのだと思います。――随分早くに独立して事務所を立ち上げていますが、勝算はあったのでしょうか。河合 僕はこういう性格だから、勤め人は無理だと思っていた。2年で独立しましたが、割と依頼者も来ましたし、自分の将来を案じたことはなかったですね。とにかく、弁護士を一生懸命やれば絶対成功すると思っていました。

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