Dentalism No.20
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20歯周病の男性は心筋梗塞のリスクが約2倍。東京大学による日本初の縦断研究で明らかに。近年、歯周病が様々な疾患の原因となったり、発症の引き金となることが明らかになってきている。欧米では、歯周病と虚血性心疾患の関係を示す研究結果が多く報告されているが、その一方で関連がないとする報告もあり、さらなる調査研究が必要とされてきた。そんな中、日本で初めて歯周病と心筋梗塞の関連についての縦断研究の結果が発表された。東京大学大学院医学系研究科の野口都美客員研究員(研究当時は大学院生)と豊川智之准教授、小林廉毅教授らの研究グループは産業保健現場の医師らと共同で、金融保険系企業の36〜59歳の男性労働者3081人を対象に5年間の追跡調査を実施。歯肉出血、歯のぐらつき、口臭からなる歯周病スコアや他の指標について、多変量ロジスティック解析で心筋梗塞発症のリスクを分析した。その結果、歯周病を強く疑われる男性はそうでない男性に比べ、心筋梗塞の発症が約2倍多いことが明らかになった。歯周病が心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こすメカニズムは、歯周病細菌とその細菌が産生する毒素、または歯周病により産生される炎症物質等が、歯肉の毛細血管を通じて全身の血管や心臓に運ばれ、動脈硬化や血管の閉塞をもたらすことが考えられている。この研究結果から、虚血性心疾患の予防に口腔ケアが重要ということが示唆された。あらためて、適切なセルフケアや歯科医院でのメンテナンスで歯周病の予防を推進させていかなければならない。*1 年齢、喫煙、BMI(肥満度の指標)、高血圧の既往、糖尿病の既往、脂質異常症の既往、心疾患の家族歴で調整した。*2 歯肉出血、歯のぐらつき、口臭の有無を点数化した(0~3点)。歯周病スコア(*2)歯周病といわれたことがある喪失歯5本以上心筋梗塞発症のオッズ比(95%信頼区間)2.11(1.29 – 3.44)2.26(0.84 – 6.02)1.97(0.71 – 5.45)■男性労働者(36~59歳)における歯周病と 心筋梗塞発症との関連−多変量ロジスティック解析(*1)歯周病の自覚があるのにかかわらず、半数以上が歯茎の腫れや出血を放置。『ライオン』は「歯科医療従事者が考える患者の歯周病ケア」と「生活者が考える自らの歯周病ケア」について意識調査を実施。歯科医師または歯科衛生士の資格を有し、現在、歯科医療に従事している146人に「歯科医療従事者調査」、30〜60代の男女176人に「生活者調査」を行った。この結果、被調査者の半数以上が歯茎の出血や腫れを経験しているにもかかわらず、その半数以上が対処をしていない。さらに、歯周病だと自覚している人でさえ対処していない人が半数もいた。また、歯科医院に行く習慣がない人は53・5%、約8割が「痛みの症状が出たとき」にしか歯科医院に行かないという結果だった。歯科医療従事者の調査で、歯周病予防に最も重要と考えているセルフケアで最も多かったものは、「歯と歯茎の境目の歯垢を除去すること」が69・2%で、次いで「歯間清掃を行うこと」が11・2%、「自分に合った歯ブラシを使用すること」が11・2%であった。生活者の調査でも、歯周病予防で重要だと思うセルフケアの1位は「歯ブラシで歯と歯ぐきの境目の歯垢除去」で72・1%、2位が「歯間清掃」52・3%であった。しかし、実際に取り組んでいる人は「歯と歯ぐきの境目の歯垢除去」が57・0%、「歯間清掃」が33・7%と、その意識と行動に差があることがわかった。歯の隣接面にあるポケットは歯周病になりやすい部位。今後はさらに歯の隣接面とポケットのケアを広める必要があるかもしれない。■出血、腫れに対し、今後どのようにしようと思いますか? (出血N=123、腫れN=101)■ 近いうちに歯科医院に行こうと思っている■ いつか時間があれば行こうと思っている■ しばらくすれば治るので様子を見る■ いつものことなので気にしていない■ わからない■ その他(治療済み・治療中を含む)出血21.1%23.6%23.6%8.9%13.0%9.8%腫れ14.9%12.9%23.8%25.7%20.8%2.0%020406080100[%]

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