Dentalism No.20
19/36

DentalismNews &Topics17嚥下、発語機能など高齢者の口腔機能が向上。歯科と美容の融合、『資生堂』の化粧療法に注目。近年、高齢者の誤嚥性肺炎が急増し、口腔ケアの必要性が叫ばれる中、化粧の効果が口腔機能の向上に作用すると話題になっている。化粧品メーカーの『資生堂』は、1990年代から化粧療法の研究を開始。心理的効果をはじめ、脳の活性化や身体機能の向上などの効果を明らかにしてきた。2011年からは、歯科衛生士と連携して高齢者の化粧による口腔機能への影響を検証。介護施設に入所している平均年齢85・2歳の高齢者女性27人を対象に、毎日のスキンケアと月1回の美容教室を3カ月間行った結果、嚥下を促す唾液サブスタンスP濃度が上昇。さらに、30秒間になるべく早く唾液を飲みこむ「反復唾液嚥下テスト」では、1回しかできなかった高齢者女性の約8割が、2回以上の嚥下を行えるようになった。同社事業企画部の池山和幸さんによると、スキンケアの塗布行為が唾液腺マッサージにつながり、唾液分泌機能が変化したと考えられるとのこと。化粧行為により脳血流が改善され、サブスタンスPの分泌が促進、そして嚥下機能の向上につながるというメカニズムだ。また、化粧をすることで会話の機会が増え、発語機能にも好影響が見られた。話したり笑ったりすることで、口周りの運動につながるのだ。現在、同社ではライフクオリティー事業の一環として、高齢者への化粧療法プログラム「いきいき美容教室」や介護、医療スタッフ向けの「ADL向上のための整容講座」を開催。要介護高齢者の健康を維持するための口腔ケアは、これからの社会において大きな課題だ。化粧療法の活用で高齢者の口腔ケア、ひいてはQOLの向上につなげられるのか、今後が期待される。■空嚥下回数■回数増加■SP濃度■唾液分泌速度■ 3回■ 2回■ 1回■ スタート時 ■ 6カ月嚥下機能低下者(1or2回)の約8割(18/22人)が向上化粧療法スタートから6カ月で、8割の参加者が5回以上になった嚥下反射に関わる神経伝達物質であるサブスタンスP濃度が有意に上昇3.6回だった参加者の全体平均が、化粧療法の継続により6.0回に。2倍弱となった特に、著しく発語機能が低下した高齢者(2,3回)の向上事例が多かった著しく唾液分泌機能が低下した高齢者において、唾液分泌速度が有意に向上N=22N=22N=6010.0024681020040608010012020.030.040.050.060.070.080.0唾液サブスタンス濃度(pg/mL)回数/5秒μL/min2回3回開始前3カ月後:p<0.01:p<0.050510152025人 数3カ月85.8開始時48.323456766.46.35.54回5回6回N=6N=4N=5N=6N=121643カ月後9130開始前回数/5秒02.04.06.08.010.0回数/5秒■ 5回■ 4回■ 3回■ 2回N=220510152025人 数6カ月後6.03.6開始時7645開始前1836カ月後1■ 1回 ■ 2回 ■ 3回 ■ 4回■ 5回 ■ 6回N=4719.1%19.1%14.9%42.6%2.1%2.1%約半数の高齢者が4回以下化粧療法開始前5秒間で何回、「ぱ・た・か」と言えるかを調査発語機能評価30秒間で何回唾液を飲みこめるかを調査嚥下機能評価化粧療法開始前N=4751.1%19.1%29.8%■ 1回 ■ 2回 ■ 3回以上嚥下機能低下※上記内容は第11回日本口腔ケア学会にて発表

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です