Dentalism No.20
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13歯科業界は、様々な課題を抱えていますが、例えば8020運動については達成率が上昇傾向にありますが、80歳になって20本残った歯のその後についても考えておく必要があります。寝たきりになった場合には、歯が残っている方がかえってリスクになる可能性もある。もちろん在宅や訪問で診療を頑張っている先生もいるけれど、出かけていって出来ることは器材も含めて限られます。その点、地域ごとにセンター内診療室を作り、それをソーシャルヘルスケアの拠点とし、歯科医師会に入っている会員にとって自分の施した診療の最後の受け皿になってくれる場所と位置付けることができれば、歯科医師会のインセンティブにもなる。また、こういう施設が日本各地にくまなくできあがって、ようやく8020が完結するのではないかと思うのです。そうしないと、原発の最終処分場をつくらないままに、原発を乱造した日本の政府と構造的には同じになる。8020は達成したけれど、その後はしらないよ、ではいけない時期に差し掛かっています。――患者の歯に対する責任といえば、一昨年、医院を継承をされていますが、こちらも先駆的であり、大胆な決断でしたね。内山 息子が歯医者になれば、まだやっていたと思いますが、音楽の道に進んでしまったので、僕もすっぱりと身を引くことができました。実際、早すぎるという声もありましたが、幸いにもお願いした先生が、とても優秀だったこと内山 卒後研修などでは、本来、全体を一定レベルで把握して、自分の得意分野を伸ばしていくことが基本なのですが、残念ながら全体を俯瞰してバランスよく学べるようには体系づけられていません。ですから卒後10年ほどは、とにかくいろんな一流の歯科に触れていただき、誰に染まる訳でもなく、自分が歯科医師として社会でどのように貢献していきたいかを考え、自分らしさを構築していって欲しいですね。また、今はインターネットでエビデンスレベルの高い文献や、検証済みの論文などが簡単に手に入る時代です。自分の臨床の姿を文献に照らし合わせて検証し、世界の潮流と合致しているのかどうかを点検したり、講演や勉強会で見聞きしたことが、どういう位置づけのものなのかを確認したりして、1952年新潟県出身。1977年東京医科歯科大学卒業。1984年~2013年ウチヤマ歯科医院院長(埼玉県所沢市)。1978年から20年間、母校同窓会で卒後研修の一環として学術講演会(現在のCDE)の企画運営に当たる。199 8年より東京医科歯科大学臨床教授。2013年より東京医科歯科大学臨床研修医指導医。■内山茂 デンタルサイトhttp://www.asahi-net.or.jp/~IJ9S-UCYM/dental.html内山 茂(うちやま・しげる)客観的に判断する材料を増やしていくことも大切です。どんなに高名な先生方でも、自信を持って語り、結論を簡単に述べられるようになるまでには、いろんな経験を重ね、相当な時間をかけてきているわけです。それを安直に真似ることはできても、同じ結果を出せるかどうかは別物。地道な作業の上に、しっかりと座標軸を定めていってください。会話や文章の中で、あっという間に人を惹きつける内山先生には、伝えたいコンテンツと伝える技術があり、それを補完する膨大な知識や経験がある。そして何よりも伝えたいという強い思いと哲学がある。今後も、高い見識と検証精神を併せ持つデンタルアドバイザーとして、歯科界を牽引していって欲しい。注目の歯科医師インタビュー長時間に及ぶ講演やセミナーでは、聞き手の集中力が途切れないよう、テーマや時間配分が絶妙に組み立てられている。(右)2014年10月に発行されたばかりの『デンタルプレゼンテーション』(デンタルダイヤモンド社)は、目次を見ただけでも、内容のわかりやすさが想像できる構成となっている。(左)映画は総合芸術と語る内山先生が、2010年に発行した『シネマプロムナード』(パレード)。1916年から2010年までに公開となった2500本の映画の中から厳選された作品が紹介されている。もあり、スタッフと患者さんの両方を託すことができました。患者さんを一生診るといっていたのに、と言われることもありますが、それは自分の一生ではなく患者さんの一生に責任を持つということ。自分に何かあったらどうするのか、そう考えると一生診ることとには矛盾していないと思っています。――先生のデンタルサイトではかなりの情報がオープンになっています。それでも著書や講演が切望され、プライベートセミナーやオーダーメイドセミナーで、きめ細やかな学びの機会が用意されるわけですが、歯科医師が学ぶべきは何なのでしょうか。

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