Dentalism No.20
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12んなふうに大きな枠の中で患者さんを見つめていってあげて欲しいですね。――講演やセミナーの数は、2000年以降だけでも350回以上を数え、昨年だけでも51回実施されていますが、テーマとしては、どのような内容のものがあるのでしょうか。内山 歯科医院向けとしては、PMTCやメインテナンス、SPTなど、ケア発想の歯科医療に関するものから、チーム医療やスタッフの育て方、患者さんへの寄り添い方など医院の運営に関するもの、他には炎症や力のコントロールなど、やはり自分の臨床や著書から派生した内容が多いですね。デンタルプレゼンテーションや歯科医院継承についても講演依頼が入ってきました。ディーラーさんやメーカーさんからは、自社製品の位置づけを学術的に理解したいという要望をいただいたり、歯科医師への適切なアドバイス方法についてレクチャーして欲しいというリクエストがくることもあります。少人数のセミナーなどでは、具体的な患者さんのケースで相談を受けることもありますし、おすすめの器材やツール、ケア用品について相談があったり、テクニカルな質問を受けたりすることも。大学では教えてくれないこと、誰に聞いたらいいかわからないことって意外と多いんですよね。――各地を講演で訪れていらっしゃいますが、都市部と地方都市とでは、歯科医療現場の状況や意識に格差などはありますか。内山 私が思ったよりも、地方の先生方のほうがソーシャルケアやパブリックヘルスケアに対して明るいような気がします。地域の中で歯科医院を開業していて絆が強いので、訪問歯科診療にしても、センター内診療にしても、歯科医師会が熱心にやっていたりします。重要な局面を迎えていますね。医科とのかかわりも避けては通れない時代となりました。内山 高齢社会ということもあり、ケアを必要としている人が日常的に増えています。一般医療機関でも介護保険が制定されたころを境に、医療とケアというものがほぼ並列に論じられるようになり、今後ますますそういう時代になると思います。高血圧やリウマチ、糖尿病など、完治しないけれど生活の質を保つのが医療の目的であるようなケア型疾患、いわゆる生活習慣病では患者の生活のレベルが低くならないように、プロの手でサポートしていくプライマリ・ケアが必要とに提供する歯科医療には限界を感じるようになっていきました。身に着けた治療技術と、多くの患者さんが望む治療とが、必ずしも一致していないということに気づいたからです。そうした中で選んだのがケア(Care)への道でした。本来、治療はケアの裏付けがあってはじめて活きるもの。予防や管理などのケアがないまま治療だけが先走っても、必ずしも効果はあがりません。僕は多くの患者さんに等しく提供できる「ケアの一流」を目指すことにしたのです。――先生が先駆的に取り組まれてきた歯科におけるケア型医療も今、1998年発行の『PMTC』、2003年発行の『PMTC2』(ともに医歯薬出版/波多野映子との共著)は、2誌をあわせて販売冊数が3万部超えた歯科界のベストセラー本。なります。歯科というのは、どういう疾患かというと間違いなく生活習慣病です。病因論としては感染症ですが、その両面から考えてもケアは欠かせないという話です。また、口腔は独立した臓器ではないわけで、全身疾患と繋がらない方がおかしい。リウマチにしても糖尿病にしても、口腔内細菌との関係は明らかだし、本来は、両方の領域をあわせもった歯科医療が望ましいわけです。少子化になる一方で、高齢者は増えてくる。医科や高齢者施設からの要求も増えてくることが予想されます。これからの歯科医は、プライマリ・ケア医として、口腔医として、自分たちが今やっている口腔領域の治療が、どの辺の位置づけの治療なのかを考えながら、患者さんにとって何が最適なのかを広い視野で捉え、考えられるようになっていかなければなりません。歯を残すことについても、一人ひとりの患者さんごとの判断が必要です。もちろん1本でも多く残すという姿勢も大切ですが、場合によっては、歯を抜いて感染源を除いてあげた方が良いというケースも出てくるかもしれない。そ論理的かつ解りやすくあらゆる事象について解説して下さる内山茂先生。

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